「皇道」とは
「皇道」とは、天皇が仁徳をもって国を治める政治の道を意味し、日本の伝統的な国家理念の一つとされてきました。古代中国の「三皇五帝」の治世に由来する用語でもあり、日本では特に天皇親政の理想を示す言葉として用いられました。近代以降は、昭和初期の陸軍内部において「皇道派」という思想的潮流を生み、天皇の権威を中心に国家改造を目指す運動とも結びつきました。
この「皇道」をはじめ、「天津日嗣」(天皇)、「大君」、「主・師・親」、「万世一系」、「皇祖・皇宗」、「神国」、「国体」など、現代ではほとんど耳にすることがない言葉が、大本の教えの中に数多く示されています。これらの語は、日本の国体思想や宗教的世界観を支える重要な概念であり、当時の人々にとっては国家と宗教を結びつける精神的支柱でした。
今日では「皇道」という言葉は、戦前の全体主義的な国体思想や軍国主義の記憶に歴史的に強く結びついているため、強い抵抗感を持って受け止められ、一般的に使われることが少なくなっています。しかし、その言葉が日本の精神構造を理解する上で極めて重要な思想的な根幹となっているため、大本では欠かせないキーワードとして教典等で示されています。
天皇・スメラミコトの宇宙的起源
『霊界物語』によると、「スメラミコト」(「天皇」の大和言葉)の言霊は、数百億年前という全大宇宙(神幽現三界=「三千世界」)の原初に起源があるとされています。この起源は、人間的な歴史である二千六百年余といわれる皇室の歴史を遥かに超えたものです。それゆえに、「天皇」は本来、時代や現象界を越えて神聖なご存在であることが示されています。
皇道の定義:天地惟神の道
出口王仁三郎聖師が説く「皇道」とは、一般に理解される国家的・政治的な統治理念とは異なり、「天地惟神の道」を指します。「天之御中主大神(大国常立大神)」を宇宙の究極創造主神(主の大神)とし、その主神(皇神)が全大宇宙を〝すべる〟(皇べる、統べる)道こそが「皇道」であるとされます。
これは、「我皇国の皇道は、天地開闢の大初より、天津神の定め玉ひし、所謂天立君主であって、天に代って道義的に統治遊ばす惟神の御天職がましますのであります。」(『出口王仁三郎全集』一巻)と説かれる通り、過去・現在・未来に一貫して変わることのない普遍的な宇宙の真相を意味します。
主神の顕現とご神業
この主神は、※幽から顕へと段階的に顕現し、無数の職掌を担う神々として天地の運行を司ります。
※ここでいう顕とは「現界」を指し、幽とは「霊界」を指す
そして、地上一切の人群万類をはじめ、すべての国々を万民和楽の「みろくの世」へと導くご神業を展開されます。ここで説かれる「スメラミコト」は、この主神の地上顕現として、天上の神意を現界に体現し、地上を治める存在であると理解されています。
皇道の真髄と日本人の使命
こうした大本の皇道観・神観は、新たな神世を築く「立直し」の教えであり、その根底には人群万類を対象とした広い人類愛善(万教同根・万民救済)主義が貫かれています。
特に、大本の教えでは、日の本の国(日本)は神意によって特別に立てられた特殊な国柄であると説かれています。この国に生を享けた日本人には、本来の※日本魂(やまとだましい)に立ち返り、世界平和と人類の霊的進化に貢献すべき尊い使命があると示されています。
※平和、文明、自由、独立、人権を破る者に向かって飽くまでも戦う精神。無理非道なる強き悪魔を倒して、弱き者の権利を守る精神。
天皇の天職と神界・現界の構造
それとともに、この国において古来、万民の平安と五穀の豊穣を祈る祭祀の伝統を継承されてきた天皇には、天上の神のみ心を地上に体現し、精神的・道義的に現界を平和に治める天職があるとされています。
「神界平定後は天津日嗣命が現界を治め給ひ、国常立尊は幽政を総纜したまひ」(『霊界物語』第一卷)とあるように、この幽界を司る国常立尊と現界を治める天津日嗣命による二元構造こそ、大本の神界観を象徴しています。
大本の使命
一方、大本は、国祖の大神様(国常立尊)が地上神界の主宰神として綾の聖地(地の高天原)にご再現になり、開教した教団です。
その開教以来、大本は「世の大本」――すなわち、地上現界に起きるすべての事象の源となる〝霊的根本中府〟として、「型・鏡」を示して現界に影響を与えつつ、二大教祖(開祖・聖師)をはじめとする代々の神柱(歴代の大本教主・教主補)のもとにご神業(ご経綸・お仕組み)が進められています。
東海教区特派宣伝使 前田 茂太
